中学受験や高校受験で使用する、入学試験の過去問を集めた問題集があります。一般的に、その見た目の色から「赤本」と呼ばれています。

- 赤本はいつ買えばいいの?
- 赤本はいつから解き始めるの?
- ノートに解くの?赤本に直接解くの?
- 何回解いたらいいの?
このような疑問にお答えします。

塾講師と家庭教師として、15年にわたって受験指導をしている、筆者が解説します。
過去問題集「赤本」とは?

「赤本」って何?
ここでは、「赤本」をご存じでない方のために、赤本について説明します。
既に赤本をご存じの方は、この章はとばし、「『赤本』おすすめ勉強法は?」にジャンプしてください。
入学試験の過去問題集「赤本」
「赤本」とは、入学試験の過去問題集のことです。
各学校ごとに、直近数年分の入試問題を1冊の問題集にまとめています。
中学受験や高校受験、そして大学受験の受験用問題集として、多くの受験生に使用されています。

「赤本」の内容は?
関西の場合、中学受験と高校受験で受験生が使用する赤本は、英俊社という出版社が販売している過去問題集を意味します。
» 赤本について、詳しく知りたい方は「英俊社」の公式サイトをご覧ください。
英俊社は、大阪市に本社を置く出版社で、主に近畿圏に加え、広島県、愛知県の私立・公立・国立の中学校と高等学校、高専の過去問を出版しています。
学校ごとに、直近の過去問が5年~6年分収録されていて、公立高校の場合、英語のリスニング問題を収録したCDが付いています。
なお、志望校の過去問を解くことの重要性については、別の記事で詳しく解説しています。気になる方は、「【中学・高校受験】志望校の過去問を解くことが重要な3つの理由」の記事をご参照ください。
「赤本」おすすめ勉強法は?

「赤本」のおすすめ勉強法は?
ここでは、赤本を使った「おすすめ勉強法」をご紹介します。
「赤本」は冬休みから解く
まずは、赤本を解きだすタイミングです。
赤本は、毎年8月頃になると書店に並びだします。そのため、2学期に入ると学校や学習塾に赤本を持ってくる受験生が出てきます。
そんな赤本ですが、いつ頃から解き始めるのがよいのでしょうか?
結論としては、高校受験の場合、冬休みに入ってから解き始めることをおすすめします。
中3の2学期は、3年間で最も忙しい学期です。そんな時期に、まだ習っていない単元を含む赤本を解き始める必要はありません。
2学期が終了し、冬休みに入ってから赤本を解き始めても、遅すぎることはありません。12月の頭に私立の志望校を決定してから、赤本を解き始めることをおすすめします。
※公立高校の赤本は、2月の私立高校の入学試験終了後に開始します。
なお、中3受験生のおすすめの冬休みの過ごし方については、別の記事で詳しく解説しています。気になる方は、「【中3受験生におすすめ】合格するための冬休みの過ごし方とは?」の記事をご参照ください。。
中学受験:「赤本」の開始時期
中学受験の場合は、志望校や受験勉強の状況によって赤本の開始時期は異なります。
超難関校を目指す場合なら、夏休みから赤本を解きだす受験生もいますが、志望校が決まる11月~12月頃から解き始めるのが一般的です。
個人的には、家庭教師や通っている学習塾の先生など、お子さんを指導されている先生に相談の上、赤本の開始時期を決めるのが最善かと思います。
夏休みは「赤本」を解かない
前の章でお話ししたように、高校受験の場合、赤本を解き始めるのは冬休みに入ってからで構いません。
もちろん、夏休みに赤本の問題を数問解いてみることは一向に構いません。
ただし、夏休みの受験勉強の内容としては、赤本を使った勉強は適していません。
夏休みは、3年間の総復習や、9月以降の模擬テストに向けた勉強をする必要があるためです。
なお、夏休みの受験勉強の具体的な内容については、別の記事で詳しく解説しています。気になる方は、「【中3夏休み】自分でできるおすすめ高校受験勉強の方法とは?」の記事をご参照ください。
【赤本のおすすめ勉強法】3つのポイント
ここでは、赤本のおすすめ勉強法について、3つのポイントにまとめました。
- ポイント①:ノートに解く。
- ポイント②:3回繰り返して解く。
- ポイント③:ノートにやり直しをする。
上記の3点が、赤本を解く上でのポイントです。
この3点を実践できれば、志望校の合格が現実味を帯びてきます。
それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
ポイント①:赤本に直接ではなく、ノートに解く
1つ目のポイントは、「赤本に直接ではなく、ノートに解くこと」です。
その理由は、赤本の過去問を3回繰り返して解くためです。
赤本に直接解いてしまうと、2回目以降に解く際のヒントになってしまいます。
また、数学や理科の問題では、途中の計算過程もノートに書いておくことで、間違った際の見直しにも役立ちます。

ノートに解く際には、次の内容をヒントに解いてみましょう。
ポイント②:3回繰り返して解く
2つ目のポイントは、「赤本を3回繰り返して解くこと」です。
公立高校の入学試験では、5教科受験が基本です。
1年あたり5教科の過去問を解くため、5年分なら計25回分の過去問を解きます。
それを3回繰り返すと、合計で75回分の試験問題を解くことになります。
1回目はほとんど解けなくてよい
初めて赤本を解くと、思った以上に解けなかったり、分からない問題がたくさん出てきます。
そして、半分も解けない受験生がほとんどです。
しかし、1回目はほとんど解けなくて構いません。
その理由は、ほとんどの受験生が、1回目は30点~50点が当たり前だからです。
そして、1回目で30点台でも、3回目で90点台を取ることは十分に可能です。

そうやって、志望校に合格する受験生を長年にわたって見てきました。
なぜ、3回も繰り返すのか?
入学試験の前に、「ちょこちょこっと赤本を解いた」とか、「毎日赤本を眺めた」という受験生はたくさんいます。
一方で、「赤本を3回繰り返して解いた」という受験生は、なかなかいません。
入学試験の問題は、学校ごとに出題傾向が異なります。5年分の過去問を3回解くことで、これから自分が受験する学校の入学試験の出題傾向が自然と頭に叩き込まれます。
反対に、繰り返して解かなければ、その出題傾向を頭に叩き込むことはできないのです。

だから、赤本は1回でも2回でもなく、3回解かなければいけないのです。
時間を計るのは3回目だけでよい
赤本を解く際、時間を計るのは、最後の3回目だけで構いません。
もちろん、1回目や2回目に参考として時間を計っても構いませんが、あくまで過去問を解くこと、過去問に慣れることに重点を置くようにしましょう。

「試験時間を気にして解く」練習は、2学期以降の模擬テストで鍛えられますから、そこまで気にする必要はありません。
ポイント➂:ノートにやり直しをする
3つ目のポイントは、「不正解だった問題のやり直しをすること」です。
たとえ過去問を3回繰り返して解いたとしても、ただ解いているだけでは学力は定着しません。
どうすれば1回目より2回目、2回目より3回目の点数が上がるのでしょうか?
その答えは、「不正解だった問題のやり直しをすること」です。
「やり直し」の方法が重要
「やり直しノート」を毎日見直す
ノートにやり直しをした内容は、毎日のように見直すようにしましょう。
見直すことで不正解だった問題の正しい知識を習得し、2回目、そして3回目の点数アップに繋がります。
もちろん、2回連続で不正解だった問題は要注意です。何度もノートで復習することは勿論、ノートに要点を追記してもいいでしょう。

ノートにやり直しをし、そのノートを見直すことで、ライバルと圧倒的な差が生まれます。
補足:【入学試験の過去問】おすすめ問題集
ここでは、英俊社の「赤本」以外の入学試験の過去問題集をご紹介します。
- 教英出版「入学試験問題集」
- 株式会社ガクジュツ「高校入試 虎の巻」
- 集英社「近畿の中学入試・高校入試」シリーズ
それぞれの問題集を簡単に紹介しておきます。
教英出版「入学試験問題集」
教英出版の「入学試験問題集」は、実際の入学試験の問題用紙と答案用紙に近いプリント形式(B4サイズ)の過去問題集です。

入学試験本番を想定した練習をしておきたい方におすすめです。
中学入試問題集
高校入試問題集
株式会社ガクジュツ「高校入試 虎の巻」
株式会社ガクジュツの「高校入試 虎の巻」は、過去10年分の公立高校入試問題集です。
全国17都府県の入試問題が、5教科10年分収録されて、1冊2,750円(税込)で購入することができます。
※17都府県は、公式サイトで確認できます。
» 株式会社ガクジュツ「高校入試 虎の巻」公式サイトはこちら

公立高校の過去問題集をお探しの方におすすめです。
集英社「近畿の中学入試・高校入試」シリーズ
集英社の「近畿の中学入試・高校入試」は、近畿地方の複数校の入試問題を教科別に集めた問題集です。
複数校の過去問を解くことで、幅広い知識・学力が定着することはもちろん、より入学試験本番に強い実践力を鍛えることができます。

「志望校以外の過去問に挑戦したい」、そんな受験生におすすめな問題集です。
近畿の中学入試 (標準編)
中学受験では、標準編と発展編があるため、志望校のランクに合わせて選ぶことができます。
近畿の中学入試 (発展編)
近畿の高校入試
まとめ
今回の記事では、「【小6・中3受験生】プロおすすめ!入学試験の過去問「赤本」の勉強法」をご紹介しました。
- 入学試験の過去問「赤本」を解くのは、冬休みからでよい。
- ポイント①:赤本はテキストに直接ではなく、ノートに解く。
- ポイント②:赤本は3回繰り返して解く。
- ポイント③:やり直しをノートにする。
中学受験や高校受験の入学試験は、学校ごとに出題傾向が大きく異なります。
その入学試験の過去問である「赤本」を研究することが、受験での合否に大きく影響します。
そんな、赤本の勉強法に、この記事が参考になれば幸いです。
最後に、中学受験と高校受験に役立つ、おすすめ情報をまとめておきます。
【中学受験】おすすめ参考書「自由自在」
中学受験での社会と理科の基礎学力の定着には、増進堂・受験研究社が出版している「自由自在」がおすすめです。
なお、自由自在がおすすめな理由については、「【中学受験対策】プロがおすすめする参考書「自由自在」とは?」の記事をご参照ください。
【高校受験】おすすめ市販問題集
冬休みに使用できる高校受験用のおすすめ市販問題集については、下記の記事をご参照ください。
»【中3受験生向け】プロおすすめの市販の高校受験用問題集2選
社会・理科の時事問題対策に!「時事問題に強くなる本」
冬休み以降の受験勉強で使用する、おすすめの時事問題対策用の問題集です。
なお、「時事問題に強くなる本」を使った受験勉強の方法については、「【中学・高校受験】社会・理科のおすすめ時事問題集とは?」の記事をご参照ください。
コメント