国立中学受験に興味があります。入学試験の特徴や受験対策の方法を詳しく知りたいなぁ…。私立中学との違いも教えてください。
このような疑問にお答えします。
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この記事を書いている筆者は、塾講師・家庭教師での国立中学受験の指導歴18年ほど。これまでに、100人以上の受験生に国立中学の受験指導を行ってきました。
この記事では、そんな筆者の経験を踏まえて、国立中学の入学試験の特徴と受験対策の方法について解説します。
※国立中学受験をお考えの方に参考になる記事です。特に、「入学試験の特徴」と「受験対策の方法」について、私立中学との違いを知りたい方に参考になる記事です。
国立中学の入学試験の特徴【私立との違いも解説】
まずは、国立中学の入学試験の特徴から見ていきましょう。
私立中学とは違う、国立中学の特徴は主に3点あります。
国立中学の入学試験の特徴
- 特徴①:調査書を提出する必要がある
- 特徴②:面接や作文、ディベートなどの実技試験がある
- 特徴③:筆記試験に副教科を含むことがある
それぞれの特徴について、詳しく解説していきます。
特徴①:調査書を提出する必要がある
まずは、出願時に調査書を提出しなければいけません。
ちなみに、私立中学では推薦入試などを受験する場合を除いて、原則として調査書の提出は不要です。
調査書は学校の担任の先生に依頼し、通知表の成績を参考に作成してもらうため、学校の通知表の成績が受験の合否に影響するということです。
なお、調査書の合否への影響や作成依頼の方法については、「【国立中学受験】調査書の内容と合否への影響【依頼の方法も解説】」の記事で解説しています。
【国立中学受験】調査書の内容と合否への影響【依頼の方法も解説】
「国立中学受験の出願時に必要な調査書って何?調査書の内容や合否への影響が気になります。担任の先生への依頼の仕方も教えてください。」←このような疑問にお答えします。この記事では、調査書の内容と合否への影響、調査書作成の依頼の方法について解説しています。
特徴②:面接や作文、ディベートなどの実技試験がある
国立中学の入学試験では、筆記試験とは別に、
- 面接
- 作文
- ディベート
などの実技試験が行われることがほとんどです。
こちらも、私立中学の入学試験はまず行われません。
なお、実技試験の内容は学校によって異なります。
いずれにしても、筆記試験とは別に何らかの実技試験が実施されるということです。
特徴③:筆記試験に副教科を含むことがある
私立中学の筆記試験は、算数、国語、理科、社会の4科目で実施されることが一般的です。(学校によっては、2科目受験や3科目受験も可能です)
一方、国立中学の筆記試験では、算数や国語、理科、社会の4科目に加えて、音楽や美術、図画工作など副教科の筆記試験を実施することがあります。
ただし、これも学校によって多少の違いがあります。
国立中学の入学試験に共通する特徴
上記の3つの特徴をまとめると、国立中学の入学試験には「基礎学力に基づく思考力・判断力・表現力を測る」という特徴があります。
この特徴を踏まえると、私立中学受験のような知識の詰め込みは不要で、むしろ基礎学力の定着が重要なことがわかります。
さらに、いわゆる受験勉強のメインとなる主要4科目だけでなく、副教科を含む総合的な学力が重視されていることがわかります。
注意点:「附属小からの内部進学者」が優遇される
私立中学受験との違いとして、最も注意しなければいけないのが「附属小学校からの内部進学者」の存在です。
※内部進学者とは、一般入試に先立って行われる、附属小学校からの進学希望者を対象とした内部受験の合格者を意味します。
国立中学の募集人数には、附属小学校からの内部進学者を含むことが一般的です。
つまり、一般入試における実際の募集人数は、この内部受験の合格者数を差し引いた人数だということです。
分かりやすい例として、「2019年度の奈良教育大学附属中の入試結果」をご紹介します。
上記のデータから、
- 男子の合格者56名のうち30名
- 女子の合格者80名のうち37名
が内部受験の合格者だと分かります。
そして、全体では136名のうち実に約半数の67名が内部受験の合格者なのです。しかも、内部受験では受験者67名が全員合格しています。
つまり、奈良教育大学附属中の一般入試では、実質的には募集人数の約半数の合格枠を競わなければいけないのです。
このように、附属小学校からの内部進学者が優遇されることを頭に入れておかなければいけません。これが、「国立中学受験は難しい」と言われる理由です。
国立中学の受験対策の方法【3ステップで解説】
国立中学の入学試験の内容を踏まえた上で、ここからは受験対策の方法について解説していきます。
まずは、私立中学の受験対策との違いから確認していきましょう。
【国立中学の受験対策】私立中学との違い
入学試験の特徴でも触れたように、国立中学の入学試験は私立中学とは大きく異なります。
- 調査書を提出する必要がある
- 面接や作文、ディベートなどの実技試験がある
- 筆記試験に副教科を含む
という、3つの特徴からもわかるように、学習塾だけでは対策仕切れません。
むしろ、基礎学力が重視される国立中学の入学試験では、小学校の教科書の復習が受験対策のメインとなります。
私立中学のような(知識の詰め込みを中心とした)受験対策をしてしまうと、まったくの的外れなことになってしまいます。
それでは、国立中学の受験対策の方法について、詳しく見ていきましょう。
国立中学の受験対策【3ステップ】
- ステップ①:調査書の対策
- ステップ②:筆記試験の対策
- ステップ③:実技試験の対策
主に対策しなければいけないのは、上記の3点です。私立中学の受験対策とはかなり違いますね。
ステップ①:調査書の対策
出願時に願書と一緒に提出する調査書は、学校の担任の先生が(小6の1学期と2学期の)通知表の成績を参考に作成します。
ちなみに、調査書の採点基準は公表されていませんが、筆者の経験では合否への影響が大きいという印象です。
ということは、当然ながら通知表で良い成績を取るに越したことはありません。
と言っても特別なことをする必要はなく、担任の先生に高評価な調査書を作成してもらえるように、「日頃から学校の勉強をおろそかにしない」でいいと思います。
なお、少しでも調査書で少しでもライバルと差をつけたい方は、「【国立中学受験】調査書・作文・面接でライバルに差をつける方法」の記事をどうぞ。筆者おすすめの作戦をまとめました。
【国立中学受験】調査書・作文・面接でライバルに差をつける方法
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ステップ②:筆記試験の対策
受験対策のメインとなるのが、入学試験当日の筆記試験の対策です。
入学試験の筆記試験は、教科書の内容を中心に一部で発展的な内容が出題される程度です。
そこで、教科書の内容を中心とした「基礎学力の定着」から始め、最終的には「志望校の過去問」を9割以上解けるまで持っていきます。
そして、筆記試験の対策に使用する参考書や問題集は市販のものでそろうので、学習塾に通わない「塾なし受験」も可能です。
なお、「塾なし受験」におすすめな参考書と問題集は「【国立中学受験】「塾なし受験」におすすめな参考書と問題集【厳選6冊】」の記事にまとめています。
【国立中学受験】「塾なし受験」におすすめな参考書と問題集【厳選6冊】
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また、「塾なし受験」の勉強法については、「国立中学に「塾なし受験」で合格するための勉強法【徹底解説】」の記事で解説しています。
国立中学に「塾なし受験」で合格するための勉強法【徹底解説】
「国立中学に『塾なし受験』で合格したい。これから受験勉強を始めたいけれど、いったいどこから手をつけたらいいんだろう…。問題集や参考書もわかりません。具体的な勉強法を教えてください。」←このような疑問に答えます。この記事では、国立中学に「塾なし受験」で合格するための勉強法について解説しています。
ステップ③:実技試験の対策
まずは、志望校の実技試験の内容をチェックしましょう。その内容によって対策も異なります。
個人でできる対策もありますが、ディベートや面接となると対策が難しいかもしれません。必要に応じて、国立中学の受験対策を行っている学習塾を利用してみてはと思います。
よくある質問:塾や家庭教師ってどうなの?
結論として、「塾なし受験」が厳しいと感じるなら、塾や家庭教師を利用するのもありかなと思います。
ただし、国立中学の受験対策は私立とは大きく異なるので、国立中学受験に強い塾や家庭教師を利用することが大前提です。
参考までに、おすすめの塾と家庭教師の記事を貼っておきます。
上記を参考に、志望校の受験対策に強い塾や家庭教師を見つけることをおすすめします。
この辺りの受験対策の方法は、お子さまにピッタリなものを選べばOKです。
個人的には「塾なし受験」でスタートして、厳しくなったら塾や家庭教師を検討すればいいと思います。
まとめ
というわけで、今回は以上です。
国立中学の入学試験の特徴と受験対策の方法について解説しました。
繰り返しになりますが、国立中学の入学試験や受験対策の方法は私立中学とは大きく異なります。なので、その違いをしっかりと理解し、正しく対策しなければ合格は勝ち取れません。
この記事の内容が、多少なりとも参考になれば幸いです。
最後に、この記事で紹介した関連記事をまとめつつ、記事を終えたいと思います。
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